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 国王と王妃は儀式の間を出た。 ハロルドはベッドから降りるとエリザベスを抱きかかえ、ベッドの奧の扉から会場を出た。  ハロルドの従者が2人の服を運び出すと神官が花弁が出来るだけ落ちないように身体に被せたシーツを外して畳み、高く掲げ持ちながら会場を出た。 侍従の女官はこぼれ落ちた花弁を適当に散らすと素早くベッドを整え直した。 「王が到着されました」 控えの間で花を愛でていたエリカに取り次ぎの神官が声を掛けた。 「王?」 「はい、国王陛下です」 「こちらに通していただける?」 「陛下をですか?」 「そうよ」  神官は王を呼びつけるなどという事は想定していなかったようで驚いていたが、意見をできるような立場ではないため、すぐに指示に従った。 王はすぐに控えの間に現れた。 「国王陛下を呼びつけたりして申し訳ありません」 エリカはいたずらっぽくそう言って王を迎えた。 「汝が居る場所ならどこにでも現れるであろう」 王も冗談めかしてそれに応えた。 「何か問題でもありましたの?」 「いや、全く問題ではないのだがな」 「はい」 「ハロルドめ、寝台に乗るだけでいいと言うにエリザベス姫を抱きしめてな」 「はい」 「何度も何度もしつこく口付けをしよる」 「あら」 「続きは部屋でやれと言ってやった」 「あははは」 可笑しくてというよりは嬉しくて笑い声が出た。 エリザベスの儀式が滞りなく済んだ様子を王から聞いて安心をした。 「ところで王妃殿下は?」 「王妃ならバラート公のところに行っておる」 「あら、では私の介添えは王が?」 「うむ」 「女性の服を脱がせたことはおありですか?」 「ない」 まあ、そうだろうな、とエリカは思った。 
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