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 王は侍従にエリカの服を渡すとベッド脇に移動した。  エリカは儀礼用ベッドの天蓋や開けた状態で纏められているカーテンの模様を眺めて楽しんでいた。 頭を右に動かすと王が厳かに前方を見据えて立っているのが見える。  複数の足音が近付いてきた。 また天蓋の模様に目を向けると、足音の主のレオナルドはどんな顔で寝台に入ってくるのかななどと考えていた。  ふと、自分はレオナルドに裸を見られているのに、レオナルドの裸を見たことがなかったと言うことに気が付いておかしくなった。    衣擦れの音もしなくなったので、そろそろかな・・・  まだかな・・・  エリカがもう一度王を見ると呆れたような、笑いをこらえているような複雑な顔をしており、エリカが見ているのに気付くと目をいったんエリカに合わせ、それから視線をレオナルドの方向へ動かした。  エリカがゆっくり上半身を起こすと、目の前に服を脱いだレオナルドが立っていた。 なんだ思っていたより筋肉がついているじゃない、と感心したところで背後の貴族達がざわついているのに気が付いた。 (花嫁を鑑賞するにしては長すぎる。結婚に乗り気ではないのではないか・・・) ああ、王が目で合図をしたのは何とかしろと言うことか 「レオンっ」  エリカはシーツから腕を出し、左手は胸のところでシーツを押さえ、右手をレオナルドに差し出した。 まるで花嫁側から誘っているように見えるだろうが、この際それはどうでもいい。  レオナルドははっと正気に戻ったらしく、ベッドに上がるとシーツの中に入ってきた。 エリカのすぐ隣にとりあえず入って来たものの、どうしたらよいか分からず、すごく困惑している様子が見て取れた。 「レオン、そのまま私に被さって」 エリカはレオナルドにだけ聞こえるように呟いた。 「いいのか?」 「いいから、お願い」  レオナルドは恐る恐るエリカと身体が重なるように移動した。 「重くない?」 レオナルドは被さったつもりのようだが、身体と身体の間に隙間が出来、それがとても恥ずかしく感じる。 「大丈夫だから、肘の力を抜いて、私に身体を重ねて」 ずっしりとレオナルドの重みを感じたが、とにかくこの場を乗り切らなくてはならない。  右肩にレオナルドの頭が来たので、右手で髪を撫でるようにして、左手は背中に回し、何とか形だけは整えた。
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