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「口付けをいただけないだろうか」
エリカはレオナルドの顔をまじまじと見た。冗談ではなく大まじめであるのが表情から分かる。
「えっと、目を閉じて、レオン」
エリカはレオナルドの唇に軽く唇を重ねた。
あ、この人ミントの葉を噛んだな・・・
何故か息をするのが相手に悪いような気がして、呼吸を止めていたが、当然苦しくなったので唇を離した。
「これが口付けか、初めての経験だ」
「あ、うん、私も」
「僕からもしてみていい?」
「前にも言いましたけれど、したかったら確認しなくていいから・・・」
ベッドの脇で2人のやり取りを聞いていた侍従の1人がエリカに近付き
「殿下、今日はこのままここでお休み遊ばされますか」
「あ、ごめん、それはまずいわね」
儀礼用ベッドに朝まで、というのは国王の特権である。
「公館に移動しますので、私と公爵に肌着を着せていただけるかしら」
「かしこまりました」
彼女達はこれからここを清掃し、シャンデリアを下ろして蝋燭を取り替え、ベッドも作り直さなければならないのだろう。
「どなたかオットー伯爵の公館だったところまで案内していただけないかしら」
「それなら私が」
この中で一番年若く見える女官が手をあげた。
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