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「そう言えばエリカの相手もいるのであったな」 「はい、バラート公はすぐ下にいますわ」  王は侍従に椅子をもう1つ持って来させると、バラート公を呼んで来いと命じた。  侍従に伴われて最上段まで上がったレオナルドは王の後方で立ち止まり 「陛下、レオナルド・バラート公爵参りました」 国主であるレオナルドは跪く必要はなかったので、振り返った王に軽く会釈した。 「エリカの隣で見るがいい」 王はエリカの横に準備させた椅子を指差した。 レオナルドにとってこれは大変な名誉ではあるが、王の意図が分からないため不気味この上なく落ち着かなかった。 王にしてみれば愛娘の夫になる男を見たくなっただけの事である。 「レオン、見た? 今の」 「え、なになに?」 「槍落として、そのまま走って行っちゃった」 「あ、あの銀色の鎧?」 「そうそう、相手がびっくりして馬止めたし」 「今日は銀色の鎧はついていないみたいだね。ん? 何か、騒ぎになってる」 「何だろう」 騒ぎについてはすぐに報告の伝令がやってきた。 伝令は王の後方で跪くと 「ただいまの試合中、鎧で窒息し騎士が死亡しました」 王は振り返りもせず 「これで2人目の死者か」 「はっ」 「御前試合で窒息とは騎士としての心掛けがなっておらぬ。その男の領地は召し上げる。試合を続けよ」 「はっ」 伝令はすぐにとって返し、書記は「神聖なる国王の言葉」として記録した。 「厳しい処置だな、やむを得ないけど」 レオナルドがエリカに囁いた。 「そうだ、エリカ」 「何でしょうか、王」 王は打って変わって上機嫌に 「召し上げた領地をそなたに加増しよう。結婚祝いだ」
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