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まさか本当にエリザベスがハロルドに惹かれているとは思っていなかったので、この反応には少し首を傾げたが 「えっと、女は神殿で沐浴しなきゃいけない決まりだからベッティーを借りて行くわよ。レオン、後のことはハロルドに聞いてね」  エリカはエリザベスを連れ出すと、回廊を神殿に向かってゆっくりと歩き出した。 すれ違う者は明らかに高貴な姫君に対し、隅に避けて一礼をする。 「ねぇベッティー」 「はい」 「ハロルドが好き?」 「はい」 「ハロルドとの口付け、どうだった?」 エリザベスは立ち止まり、紅潮した顔を更に真っ赤にした。 「無我夢中でしたっ」 エリザベスの答えに、思わずエリカは笑った。  神殿の沐浴場は花で埋められているのではないかと思うほど香りの強い花がたくさん水面に浮かんでいた。 「まあ、本当の姉妹みたい」 「髪に花を飾って遊んでいらしゃるわ」 沐浴の世話をする神官達は水浴しながらじゃれる2人を微笑ましく眺めた。  エルフリーデをはじめとしたその他の神官達は、神殿で神に回りくどい口上を述べたりする必要がないことを知っているので、2人が呑気に水遊びをしている間に王の儀式の間に向かう隊列を整え、沿道に見物に来ている者達に蝋燭を配って歩いた。 「ハロルド」 「王妃殿下」 前触れもなく現れた王妃にハロルドの部屋に緊張が走り、皆一斉に礼を行った。 「こちらにバラート公爵閣下がいらっしゃるとうかがったのですけれど」 「はい」 レオナルドが進み出た。 「実はこの後の床入りの儀式なのでですけれど、陛下が王女の介添えをすると」 「は?」 「例のないことですけれど、私はフレット公女の介添えをした後、あなたの介添えをするということになりますけれど、よろしいかしら」 「あの、儀式自体よく分かっていませんので、全てお任せいたします」 「そう、わかりましたわ」  王妃は一応確認に来たと言った感じで、異議がないのを確かめるとさっさと部屋を出ていった。 「へえ、陛下がね」 ハロルドが感心したように 「やはりエリカが可愛いくて仕方ないのだな」 「殿下、どういうことか説明いただけます?」 「陛下はだいぶ儀式を簡略化されてね。昔は神殿での儀式や国王への儀式というのが長時間続いたそうだが、今は床入りの儀式だけになっているのだよ」 「それでこの格好なんですね。てっきりこれからまだ何かを着るのかと思ってました」
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