プロローグ

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────唐突にそれは現れた。 空色の世界。 全てが平行に交わる澄んだ世界で。 どこかで見たことあるようなそれは、 そう、まるで西遊記で名を馳せた斉天大聖こと孫悟空の金冠のような。 或いは、宗教画で天使や神などが頭上に浮かべているような、 ────神々しくも全に請う光の輪のように、 それは丁度対の位置で白と黒の翼を伸ばしている。 些か疲れ果てたような気分をする心情を、 光翼の金の輪っかはまるで見透かしていたかのように、 『遠路はるばるよくぞ参られたむ。 待っていたむ、仁科 蘇芳』 それは可愛らしい幼児の声で、喋ってしまった────。
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