転居

4/4
前へ
/4ページ
次へ
せんね。」 「いえいえ、そんなことはありません。B市の不動産業者を介してアパートの契約をかわしました。私はこの町のA中学校の数学の教師として採用になったのです。」 「異議あり。」 検察官は高らかに叫んだ。 「被告人には証拠はありません。」 「異議を認めます。」 あまりにも無茶苦茶な進行だ。私は口をはさんだ 「それだったら、私が不法侵入した証拠もない。」 検察官はにやりとし、してやったりという表情を見せた。 「証拠はあります。証人をよんであります。」 「証人前へ」 市役所の守衛のじいさんだった。 「確かにこの人は、役所に入ろうとしましたが入らず引き返しました。」 「今の証言は重要です。証人は誓えますか。」 「今日の日当にかけて誓います。」 ざわつく聴衆。 「これは決定的だ。」 「静粛に、それでは判決を下します。」 「OO氏には市立B中学校の数学科教諭として赴任を命じます。」 「被告何か意見は?」 私はすべてに言いたかったがとりあえず判決に対して述べた。 「普通判決とかは懲役とか罰では...。」 「わが都市は平和宣言都市です。したがって人を刑で裁くことは神以外できません。したがって、社会に還元してもらう行為をしていただきます。」  結局、私は転居証明と一緒に自宅のアパートへ戻され次の日からB中学へ赴任した。その3年後にはA中学へ転任し当初の勤務に行くことになった。  後で知ったが私は幸運だったらしい、以前裁判にかけられた人は警察の仕事を作るため裁判で泥棒になることを命じられたらしい。  この都市モデルはわが国のスタンダードになるそうだ。  
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加