それは入学式の朝のこと

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やっと吸った酸素が体中を駆け巡り、思考がクリアになる。 さあ言うんだ僕! 「ごめんなさい!!」 「え?」 自然と体が動き、直角90度の綺麗なお辞儀を披露した僕。 頭上からは四宮さんの驚いた声が聞こえた。僕だってそうだ。自分のしたことに驚いている。 「なんで?」 「いや、えっとその…」 咎める声に僕は縮み上がる。きつく閉じた目を開けば昨日の雨が残した水溜りに映る自分と目が合った。 情けなく下がった眉に二重の目。 黒い髪は短くそろえているが、同級生の男子と比べて小柄な身長と相まって全然かっこよくなんてない。 情けない顔が僕を現実に引き戻した。そうだ。 こんな美人と付き合えたところで同級生に馬鹿にされるのが落ち。 並んで歩いた所なんて自分が惨めすぎて泣けてくる。 「その…ごめんなさい」 僕はそれだけを言うと顔を上げないまま後ろに振り向き走り出す。 が、その手は掴まれて僕の逃走は簡単に止められてしまう。
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