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男が言った。
「なに……笑って……」
『俺、助かる方法……わかっちゃったかもしれない』
はっ?
なにを言ってるんだ?
この絶体絶命ともいうべき状況の中で、とうとう頭がイカレちまったのかと思った。
「正気になれって! アンタ、このままだと死ぬんだぞ!?」
『だろ~なぁ』
「だろうなって、おい!」
『いやいや、君の助言を聞いておいてよかったよ』
男が顔を上げる。
まるで能面のようにニッコリと微笑んでいた。
なんだ?
どうしたって言うんだ?
『さっきの話だけど……俺もね、同じだったんだ』
殺人鬼は壁を挟んで男のすぐ傍にまで迫っていた。
もうどうしたらいいのかわからなくなって、男の話を聞く。
今にも心臓が口から飛び出してしまいそうで、喉の奥が酸っぱい胃液で満たされはじめていた。
『サイトにアクセスして、【処刑動画】を観てたんだよ』
えっ?
なにを……。
『君は、この【処刑動画】をいくつ観たか知れないがね、俺はけっこう観てきた。単なるスナッフ動画だと思っていたからね……』
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