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何かを思いついたかのように体を震わせると、男はふとこちらを見る。
「うわ……びっくりした……」
一瞬、目があったように思った。
『な、なぁ……お前、見ているんだろう? これはどういうことだ? なぜ、俺はここにいる?』
すぐに状況を把握したのか、男はこちらに向かって語りかけているようだ。
まるで、俺に気づいて話かけているようにも思えたが、これは動画。
過去に撮影されたものなのだから、もちろん俺に話かけたわけではない。
『なぁ! 何で黙ってるんだよ? お前だよ、そこで俺をのぞき見ているお前だよ! 黙ってないで何か話てくれ!』
どうやら、この男は、撮影者と何か関係があるらしい。
なんだこれ、何が始まるんだ?
妙な緊張感に、少しだけ鼓動が早くなるのがわかった。
男はベッドから立ち上がると、泣き出しそうに顔を歪め、頭を抱える。
『頭が……痛てぇ……俺は……ジジッ……て……だけなのに……』
途中ノイズが入り、男の言葉が聞き取れなかった。
『クソッ! 本当なのか? これは現実なのか? 俺は……これから……〝アイツ〟に殺されるってのかよ……ウソだろっ?』
〝アイツ〟。
どうやら、この男を殺しに来るヤツを指しているらしかった。
『はっ!?』
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