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えっ?
男の声がして、心臓が跳ねたような気がした。
まさか、今……俺の言葉に反応したのか?
「お……俺の声……聞こえて?」
その言葉に反応した男は、俯き加減に視線だけをこちらへとよこした。
『さっきから言っている。聞こえてるよ……』
会話が成立してしまった。
ウソだ……ろ?
これは動画で、過去に撮影されたものだ。
実況なんかじゃないのに、話かけられるわけないじゃないか。
だが、現に俺と男は会話をしている。
はぁ?
意味がわからねぇ……。
完全に混乱した。
俺は思わず部屋を見回す。
どこかにカメラでも仕掛けられているのかと、不安になったのだ。
これは友達が仕組んだドッキリで、やらせか何かなんじゃないかと思った。
『これは現実だ……諦めろ』
モニター越しに、男が言った。
「現実? そんなわけ……」
『じゃあ、なぜ俺らは会話できている? 説明できるのか?』
男の言うように、説明などできるわけがなかった。
「な、なんでこんな……」
鼓動が徐々に速さを増していくようで、マウスを握る指先が波打つようだった。
気づけば、大量の汗が全身から吹き出している。
『なんでか、なんて俺に聞くなよ。ただ言えることは、俺もお前と同じ側に居た……』
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