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はっ?
コイツは何を言っているんだ?
意味がわからず呆然としていると、カランッという音がさっきよりもさらに大きく聞こえてくる。
明らかに男のいる部屋に近づいているようだった。
『な、なぁ? 俺はきっと殺される。これはそういう動画だ。でも、助かる可能性もあるかもしれない。お前から見て、何か気付くことはないか?』
男は部屋を見回した後、右側にある扉へ近づきながら俺に話かけてくる。
「アンタが俺側に居たってどういうことだよ? それに殺される? そういう動画? 言っている意味が全然わかんねぇんだけど!!」
まくし立てるようにして話す男に怒鳴りながらも、言われた通り部屋を見回した。
部屋には壁に備え付けられた、大きめの裸電球がひとつ。
黄ばんだマットレスのみのベッドが中央に配置されていた。
向かって右に扉、左には棚があり、正面にはひび割れた壁があるだけで、何か利用できるようなものなどなかった。
『そんなことは俺が助かったあとで話してやる! そんなことより、な、なぁ、確かお前が見ている画面は箱庭のような感じで、天井はなく、部屋の周囲にある廊下が見渡せないか?』
そう言われて初めて気づいた。
「あ、あぁ……確かに」
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