第2章

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季節は春を迎え、僕は15歳、中学三年生になった。 未希ちゃんは社会人一年目。今年23歳になる。 ますます忙しくなった未希ちゃんに、僕は会えることができず、君への想いは募るばかりだった。 そうそう、僕の日常生活は少しだけ変化していた。 僕はバレンタインの日を始まりに――、時々綾香さんのビルに遊びに行くようになった。綾香さんは僕を邪魔もの扱いしないし、子供扱いもしない。 「今日、行ってもいい?」そうメールを送ると、「ど~ぞ」と一言だけ返事をくれる。 そして他愛もない話をして、ピザを一緒に食べるんだ。 綾香さんが僕に要求することは一つだけ。それもいつもじゃないけれど、 「朔~、温もりちょうだい」 時々、だけど、その言葉を口にする。僕は綾香さんをそっと優しく抱きしめる。 ただそれだけ……、それ以上は何もない。 どうやら、大人になると、人肌が恋しくなる瞬間があるらしい。 僕はそう理解するようになっていた。 そして僕自身も、綾香さんを抱きしめると、心の中が温かくなるような気がしたんだ。 安定剤みたいなものかなぁ…… だから、綾香さんを抱きしめる行為は好きだと感じていた。 それに、綾香さんは未希ちゃんと同じ香りがするからね♪ 時々錯覚しそうになる。そういう時は太ももをつねるけど。 とにかく、綾香さんと過ごす時間は、僕にとって、とっても重要なものになっていた。
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