プロローグ

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 高校三年生の卒業式。  中学から仲の良かった男友達と、高校で仲良くなった女友達と俺の三人で同じ大学への進学が決まっていた。  俺は卒業式で校長の有難い言葉を聞き流し、でも合唱の時に少し込み上げてくるものも感じ、中学とは少し違う式を終えた。  それからはクラスのみんなで写真撮ったり、泣いてる女の子を同じく涙ぐみながら慰める女の子がいたり、いきなりこれからみんなでカラオケ行こうって提案したり、たぶん俺のクラスが一番騒がしく、仲良く全員遅くまで残っていたと思う。  結果的に、一度家に帰ってから夕方にカラオケに行くことになって解散した。俺はいつもの三人で帰ろうとしたとき、一人の女の子から声掛けられた。  二人には先に行かせて、よく聞く校舎裏にまで呼び出された。  この時なんとなく分かってしまった。たぶん告白されるのだろうと。別に自惚れてた訳じゃないけど、雰囲気で理解してしまう。  「好きです。付き合って下さい!」  シンプルだった。率直で素直で、どこか恥ずかしそうな言葉。俺はこういう素直な子は好きだ。でも…  「ごめん」  その言葉の後で理由とか色々伝えたのだが、俺も告白されたのが初めてでテンパってしまったのか、なんていったかあまり覚えてない。覚えてることといえば、その子は一年のころ同じクラスで、あまり話したことが無い子。そして、その子の泣き顔だけだ。  だけど、その場に俺とその子だけのはずの空間に、もう一人、その場に居合わせてた人がいたことを…俺はまだ知らなかった。
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