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宇佐見くんがわたしのほうに身を乗りだし、あからさまな困惑顔で聞いてきた。片方のイヤホンをはずし、耳に手を当てながら。そうか。イヤホンをつけていたから聞こえなかったんだ。
「なんにもない」
さっきより声を大にして断言する。聞いてくるな、という意味もこめて。
「ワーオ! WHATS HAPPEN? ヨーコ。今日はやけにご機嫌斜めじゃないか」
アメリカ人並みのオーバーリアクションをし、勝手に誤解をしてくれる宇佐見くん。ところが、すぐさまうんともすんとも鳴らないフィンガースナップをし、閃いたように言った。
「OH! SORRY ヨーコ。俺としたことが気づけなかったようだ。ひょっとして拗ねてるのかい?」
「ハア? どうして拗ねなきゃいけないのよ」
「YEAH わかってるZE このヒップでホップなビートを俺とシェアしたいんだろ?」
んなわけあるか! って、イヤホンを差しだすな。見当違いも甚だしい。
「いいわよ」
「恥ずかしがるなよ。アーハン?」
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