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……ウ、ウザい。話してるだけなのに疲れる。この調子じゃわたしの身がもたない。どうにかして席を移動できないかしら。メガネをはずし、眉間を揉んで思案した。
その横で宇佐見くんがノリノリモードになっている。
「YEAH! ヒュー。最高にクレイジーなヴァースだぜ、こいつは。POW! POW! POW!」
考えるんだ、わたし。このままじゃヒップホップ漬けにされて、宇佐見くんのお供にされてしまうぞ。いいの?
「あ。そうだ」
脳裏に、あるアイデアがふと浮かんだ。宇佐見くんと離れる方法が一つだけあるじゃないか。
わたしはおもむろに手を挙げ、せんせー、と呼ぶ。
宇佐見くんがギョッとし、青い顔でそそくさとイヤホンをしまい、ボタンをすばやく閉じる。それから背筋を伸ばし、前方に向き直った。
「なんだー? 間村」
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