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ちょうど30歳のころ、だな、
このジムで働きはじめたのは。
俺は大学を出て
プロサッカー選手になった。
だが、プロの世界は厳しい。
30歳、なんとかサッカーで食べていたが、それももう限界だった。
その年に結婚して、子どももできた。
サッカーに比べたら、結婚もジムの仕事も俺にとっては大したことではなかった。
課長とは同い年だ。
彼も大学テニス界では名の通ったテニスプレイヤーだった。
だが、課長はプロプレイヤーの道を目指さず、すぐにこのジムに就職した。
だから、職歴は課長の方が長い。
でも俺はどうしても認められない。
そんなに実力があったのに、それ試しもせず
こんな楽なとこで働いてきて、
自分より立場が上?同い年なのに?
けっ。納得できないね。
俺は、ここまで目標通りにすべてこなしてきた。
結婚も子どもも。
だが、妻のことをそこまで愛しているかと言われると、そうでもない。
子どもも新婚のころにつくってから、その後は全くそんな気がおきない。
自分の目標は達成してきたのだが、何かぽっかり心に穴があいていた。
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