第1話

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あー。 もう一回見たいかも。 俺はその日のうちにパソコン作業も教えることにした。 彼女を受付のパソコンに座らせて、後ろから指導する。 微かに香る甘い匂いを確かめたくて、 ギリギリまで近づく。 するとみるみる内にガチガチに固まっていく彼女の身体。 彼女をこうさせているのは俺なんだな、と思うと沸いてくる不思議な感情。 なんだこれ。 俺大丈夫かな。 どこまで近づけるのか試してみたくて、 彼女がぴくりと動くまで距離を詰めた。 しかも逃げ場が無いように。 ガチガチの身体、華奢な腕、滑らかな首筋。 すぐにでも触れられる距離なのに、なぜだか、触れたら壊れてしまいそうだ。 耳元でパソコンの入力を指導する。それに短く返事をする彼女。 身体はガチガチなのに、返事は平静を装っている。 高鳴る心臓。 緩む口元。 鼻をくすぐる甘い匂い。 ギリギリの緊張感。 俺以上に緊張する彼女。 この感じ久しぶりだな。
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