紹介

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わたしは嫌な予感がした。 なぜなら、わたしもこの事務所内で唯一独身だから、である。 彼は受付の方にやってくる。 事務所の冬場は寒いので、受付の足元には小さなフットヒーターが置いてある。 わたしの椅子との距離はわずかに30センチといったところだ。 彼は、しゃがんでそのヒーターに手をかざしながら 「これきいてる?」 と、上目づかいにわたしを見る。近い。 突然のことでわたしが動揺でもすると思ったのか。 わたしゃ、そんな柔じゃない。 にっこり笑って、微動だにせず、 「ええ、とても暖かいです。」 と、言ってやった。
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