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俺のことを好きだって言わない誰かの肌に触れたい。いいようにしたいしされたい。
でも初めて会った奴に対し、これからそういう風にもってって、場所を確保し(ホテルとか?)なんかそういう手続きいろいろ?そういうのが面倒だなとも思い初めていた。
昔だったらどうとでもなったのにね。案外俺も大人だね。いろんなことを億劫に思うお年頃。新しいこと始めるの大変。人との出会いも。
結局、お誘いがあったにもかかわらず、バーを出た。
タクシーを拾わずに歩く。
後悔が押し寄せる。
やっぱどっちかとでも寝たほうがよかったかも。
そうしてハメをはずした方が、発散できたかも。
俺はそんなことを思いながら、とぼとぼと白みはじめた夜を歩いた。
ここ数日まともに寝ていない。
どんなに激務でも、スペースさえあれば眠れたこの俺が。
会社員時代は、床に段ボールをひいて寝た。3、2、1、で眠れた。こまぎれの睡眠でも大丈夫だったのに。
そんな健やかな俺も一度だけ不眠に悩まされたことがある。
それはやけに背の高い男と身体は小さいのにハートのでっかい女が解決してくれた。
あの時以来だ。
たぶん、いろいろ疲れているんだろうと思う。会社をやめて、一人でやっている。仕事は順調な方だ。ただメンタルがついてゆかないのだ。
いざ眠ろうとベッドに入っても、頭が寝ようとしない。いろんな思考が瞼の裏で走り続ける。意識はずっと覚醒している。
こんな状態で修司のいる家に帰りたくなかった。
何でも見透すような目。深い夜みたいな目。
そんな目に魅かれて今に至るわけだけど、やっぱ嫌い。見ないでほしい。
それでも帰るところは一つなわけで、俺は渋々家に帰った。帰宅して真っ先に修司の靴を見つめる。
どんどんつらくなる。
奴と顔を合わせたくない。弱ってる自分を見られたくない。
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