朝には朝の、夜には夜の(side7)

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 二階に上がらず、まっすぐ風呂に行った。  熱いシャワーでタバコやおしゃべりやアルコールを流した。髪を洗い、肌を洗い、性器を丁寧に洗った。悩んだ末、ナカも洗浄した。  このままオナニーしちゃおうかな。  うなだれているペニスを少しいじってみる。ローションを使って、自分の内部を探ってみる。  全然のれなくて、ため息をついた。あきらめて風呂を出た。上がり框(がまち)に腰かけて修司の靴を見た。  明るい茶色の革靴。そのシャープなつまさき。  俺はそれに足をつっこむ。サイズが大きいうえ、素足にはぶかぶかだ。当然だが修司のぬくもりなど、とうになくなっている。  このままだと修司が二階から降りてくる。ダメな俺のところに、やってくる。俺は多くのことを観念しなければならない。 「無理」  言っても修司はやめない。  必死であの目を見ないようにしていた努力が水の泡。必死で修司のところに戻らないよう抵抗していたのも全部。  俺は流されるだけ。  修司に突っ込まれて、俺は女のようにあえぐしかない。  こんなの嫌だ嫌だ嫌だ。  誰かを好きだとか、本当に逃げ出したくてたまらない。  性器を、ナカを、指でぐりぐりされる。  そして指よりもつらくて重たい刺激がずんって俺の中に入りこむ。  打ちつけるように何度も何度も、ずんっ、ずんっ、て抉るようにされて、おかしくなりそうだ。  頭の中で、瞼の裏でしつこくこびりついていた思考も粉々になってゆく、全て狂おしい衝撃にかきまわされてゆく。  そんな風に俺をぶっこわしておきながら、俺の身体を好き放題犯した男は、さっさと仕事に行ってしまった。  俺はしばらく放心し、それでもなんとか二階のベッドまでたどり着いた。わずかに修司の匂いが残っていて、目を閉じると、やはりいろんなことが瞼の裏を走る。でもそれもほんの数秒で、ぐっとひきこまれるように眠りに落ちた。身体にこびりついた泥のような疲れは、皮膚からじわじわとしみだし溶け出し、全て眠りへと混ざっていった。
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