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実際、若い騎士には憧れられ、熱心に言寄られたりもする。
しかし、俺は年上に憧れ、可愛がられたいと思うタイプだ。
若い兵士に潤んだ瞳で『一度でいいから抱いてください』と言われても、曖昧な表情で断るしかない。
職務であれば目上の人間にも苦言を呈するのを恐れない俺は、年上にはかわいげがなく写るらしい。
そして俺を組み敷きたいと思うようなタイプは、騎士然としたたたずまいの俺の顔を苦痛に歪ませたいなどという変態性の強い者ばかりのようだ。
だが、残念ながら俺はそちらには素質がない。
もういっそ、人としては真っ当だが変態性癖をもつ人間を捕まえようかと思ったが、そんな空気になる以前に話の途中で受け入れられなくなる。
大佐となった今、独身将校で男の恋人もいないとなれば、縁談が引きも切らない。
気がつくと何故か騎士団の中で難攻不落の高嶺の花のような扱いになっている。
自分でいうのもなんだが、俺はちょろい。
素敵で大人な男性に優しくされればすぐにぽーっとなる。
今はそこそこいい年齢になったので、同年代や多少年下でも充分に大人だ。
若い頃よりずっと間口が広がった。
なのに恋人ができないのは、あきらかに自己演出を間違ったとしか言いようがない。
けれど、いまさら騎士学校時代ほどの可愛いキャラに戻ろうとすれば、まわりにドン引きされるだけだろう。
大理石の廊下を歩けばどうしてもカツカツと足音が響く。
そのさまがキリリとしていてとカッコいいと言われ、逆に大きな音が響かないよう丁寧に足を下ろすようになった。
男らしい騎士のイメージを払拭したいという工夫。
こんな俺をだれか健気で可愛らしいと思って見てくれないか。
…まあ、無理だってわかってる。
友人のアルザスは、騎士学校時代より男らしい体型になったのに年のわりに可愛らしい印象が残っている。
一緒に歩けば俺の男らしさが際立ってしまうということに、最近気付いてしまった。
同じ先輩に憧れ、キャッキャと騒いでいた仲だが、すでに結婚し子供も二人いる。
上官にも可愛いがられ、部下にも可愛いキャラとして浸透している。
俺にないものを全て持っている。
うらやましい。
そばにいれば、そんな愛されキャラが俺にも身に付いていかないかと思う。
類は友を呼ぶで騎士学校時代は似た雰囲気だったのに、二十年かけて大きく違ってしまった。
中身は今も似たままなのに。
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