File.4 奴霊(やっこれい)

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なんと言っても、いい思い出が何一つない。 「ずっとここに?」 いつになくふわふわとした梨花さんが、外の街路樹を眺めてそう言った。 「ですね、両親は忙しくてほとんど家には居なくて。住む場所には無頓着で」 「そっかあ。少しの間こっちにいたけど、私がおったとこより全然ここはええなあ。東京のど真ん中やのに」
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