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文殊院は四時まで。
今は午後三時だけれど、着いて30分ほどじゃ時間は足らないだろう。
彼女達は、諦めたらしく駅に戻っていった。
「また来たら寄ってや!」
どれだけここに居座るつもりなんだ、と僕は恭平に冷たい視線を送る。
全く調子だけはいいやつだ。
「文殊さんかー。そういや安藤の名前さあ」
「――なんだよ」
「安藤ハルアキ、やな」
それがどうしたんだ、と僕は恭平に背を向けて奥に戻ろうとした。
「一文字変えたら、安倍晴明やな」
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