File.2 右目の力

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文殊院は四時まで。 今は午後三時だけれど、着いて30分ほどじゃ時間は足らないだろう。 彼女達は、諦めたらしく駅に戻っていった。 「また来たら寄ってや!」 どれだけここに居座るつもりなんだ、と僕は恭平に冷たい視線を送る。 全く調子だけはいいやつだ。 「文殊さんかー。そういや安藤の名前さあ」 「――なんだよ」 「安藤ハルアキ、やな」 それがどうしたんだ、と僕は恭平に背を向けて奥に戻ろうとした。 「一文字変えたら、安倍晴明やな」
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