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違う学校の人、勤めてる人、知らない人。
朝の通学電車って闇鍋みてえ。
色んな人つめこんでさ。
隣の奴とは、距離は近けえんだけど、
近いほど、お互いの存在が気にならなかったりして。
「やだぁ、生徒手帳忘れたみたい。ホント最悪ー。この世の終わりだよぉ」
相変わらず、
『声デカ』
声がした方を向くと、片側の口角をあげてニヤリと笑う男がいて、
『あ、里田の彼氏だ』
男の前に、声の主、里田由良の小さな後ろ姿。
里田の彼氏は口がでけぇ結構印象的な面のヤツ。
三年間いつも俺と同じ電車で、里田を周りからガードしてやがる。
だからかな、見ているだけで、うざかったりする。
でも残念だね、ガードはここまでだ。
ヤツは里田の頭を撫でて電車を降りてった。
いつもホームにはヤツを待つ女がいてーー、あっ、今日もいたいた。
女は一生懸命ヤツに話しかけてるけれど、女の想いは一方通行だね。
だって、ヤツの里田を見る目とあの女を見る目は、誰が見たって全然違う。
今日も里田が窓越しにヤツらをじっと見てる、かわいそうに。
好きな女の前で他の女を寄せ付けてたら、ろくなこと無いよ。
そんな事をしていたら、後で痛い目に……
『俺には関係無いや』
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