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駅から高校まで続く、ダラダラした上り坂をのぼるのも、あと一か月もない。 来月の今頃は、みんな違うところに居るなんて、 なんか、すげぇ変な感じ。 「涼、おはよう」 あ、元カノの嵯峨山千愛さん、 「おはよう」 まあ、付き合ってたのは、中学ん時、少しだけだけど。 あん時より見かけイイ女になりやがった。 「あのね、何回も言って悪いんだけれど」 「ん?」 またか。 「その伊達眼鏡、もう要らないと思うよ」 朝からウザいなぁ、無視無視。 「大丈夫。誰も中学の時みたいな子供じゃ無いよ」 「カンケーねーよ」 カバンを持たない右の手で、軽く眼鏡を押し上げる。 「イケメンなのに、美味しい時期に顔隠して、もったい無い」 お前にイケメンなんて言われても全く嬉しく無い。 「俺はこの方が良いんだ……」 「いつまでも、顔面、引きこもってんじゃないわよ!」 「ああ?」 俺の返事を待たず、朝からお怒りの嵯峨山はスタスタと先に行ってしまった。 『俺はオメェみてぇに強かねぇんだよ』 眼鏡越しに前を見つめる。 くそぉ、良いケツしてやがる……。 「あー、坂、キツー」 お前に言われなくても、わかってんだよ、チナ。
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