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「高河くん、今日は女子のチェックお願いね」
教室に着いた途端、スタスタと小崎がやって来て、指示が飛んできた。
今日は月に一回の風紀検査の日。
俺と小崎が風紀委員でチェック係。
「小崎さん、今日で最後だね、よろしく」
小崎は、とても責任感が強く、キビキビしてる。
3年最後のこの時期に一緒に風紀委員をするまで、のんびりとした大人しい女の子って思ってたけれど。
春から同じ教室にいて、わかんねぇこともあるもんだな。
わかんねぇまま終わることのほうが多かったりして。
「男子は起立、女子は椅子の上に膝で立って下さい!私が男子、高河君が女子の確認をします」
小崎の言葉を皮切りに、風紀検査を始めた。
『あー、面倒クセェー』
「前髪オッケー、スカート丈オッケー、ハンカチ・ティッシュ・生徒手帳オッケー」
生徒たちがザワザワと雑談のする中、俺は、ひたすらチェック表に丸をつける。
お決まりの行事だから慣れたもんだ、みんな手際が良い。
……はずなんだけれど、顔を上げない女子にぶちあたる。
『里田、テメェ生徒手帳わすれたんだったな、あきらめろ』
前に立って、少し待ってやる。
里田が、ゆっくりと顔をあげた。
お、お前、
「ま、前髪……」
どうしたんだ?
ザクザクに斜めに切られた前髪の里田が、上目遣いに俺を見上げた。
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