2

5/12
前へ
/12ページ
次へ
夕方の中学校は、まだ明るくって。 クラブが終わった俺は、付き合い始めたチナが待つ教室に急いでて。 いつも良く喋りかけてくる俺の取り巻きと自称する女どもと、すれ違ったけれど珍しく会話をせず。 息切らして。 教室の扉を開けたら、そこには、 少し乱れた机を揃えるチナの後ろ姿。 「チナ、お待たせー」 俺は、後ろからチナに抱きついた。 華奢な身体が俺の胸に収まる。 『あー、気持ちいー』 触れれば触れるほど、もっとチナが欲しくなる。 「涼、あのね」 「ん?」 チナの旋毛に顔を埋める。 チナの匂いがする。 「私、無理。涼と付き合うの」 「えっ?」 慌てて、チナの前に周った。 昨日、からかい過ぎたからかな? 「どうして?俺のこと、、ヤになった?」 床を見つめたまま顔を上げないチナの 両頬に手を伸ばす。 チナの体が小さくピクンと震える。 俺の中にキンと痛いものが走った。 そっとチナの顔を持ち上げる。 胸がザワザワする。 俺を見上げたチナの前髪は、 ザクザクに切られて、斜めになっていた。 「涼の取り巻きに……」 チナの目には涙がいっぱいで。 俺の大切なチナが、 俺のせいで、ザクザクにされたその日から、 どうしたら良いかわかんなくて、 チナに会いたくて会いたくて仕方ないのに、 家から出ようとすると苦しくって、 立てなくって、 動けなくって、 チナを助けに行けなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加