大寒波

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 「最悪だ…この世の終わりだ…」  俺はトイレの個室で頭を抱えていた。  話は数時間前に戻る。  1月の最後の日曜日。今日は大学の単位認定試験の日だ。今までバイトにかまけていたせいで、これを逃したら今学期中に進級できない。留年確定である。それは嫌だ。友人達にしめしがつかない。口が悪くて噂好きな連中の事だ。きっと末代までの語り草になるだろう。  会場には電車を乗り継がないと行けないし、家から駅まではバスで30分ほどかかる。昼からの試験なので時間に余裕があると思ったのが甘かった。それでも9時には家を出た。しかし、10年に一度の大寒波は甘くなかった。家の前の道路にはうっすらと雪が積もり、歩道は真っ白だ。  タクシーで駅まで行こう。そう思い電話してみたが返ってきたのは無情な声だった。  「今、全ての車が出てまして。そちらに向かうのは30分以上かかると思います」  おばちゃんの声に哀れみを感じた。たぶん、タクシーはいつつかまるかわからないのだろう。  「はい。じゃあ、諦めます」  俺は受話器を置いた。窓を見るといつの間にか吹雪になっていた。ため息をついたがどうしょうもない。コートをはおり玄関を出た。バス停まで5分もあれば着く。マフラーを巻き、ポケットにカイロをいれて根拠もなく自分に大丈夫だといいきかせた。
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