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「最悪だ・・・この世の終わりだ・・・」
悪い夢なら今すぐ覚めてくれ・・・
しかし、これが夢ではないことを、鼻腔を強烈に刺激するこの異臭が物語っている。
この日本国で五本の指に入る財閥グループの御曹司。
著名な彫刻家が全身全霊を懸けて造り上げたかの如く、シンメトリーに寸分の狂いも無い綺麗に整った顔。
成績は勿論、常に学園トップ。テニスと馬術で全国大会に出場するのが当たり前の、類い稀な運動神経。
この誰もが羨むスペックを兼ね備えたこの学園のプリンス、綾小路 貴仁(アヤノコウジ タカヒト)がこの僕だ。
その僕が今、トイレの個室のドアの前で微動だにせず固まっている。
一体何があったのかを口にするのもおぞましく屈辱的で、空前絶後の羞恥心で全身の細胞一つ一つまで爆発して消滅してしまいそうだ。
まさかあろうことかこの僕が・・・
この学園のプリンスであるこの僕が・・・
大便を漏らしたのである。
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