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男は必死の形相で縋ってくる。
……でも。
「あいつよりおまえのことが好きだ、
俺と結婚して
倖せになろうって云ってくれたのにー!!!」
女の絶叫に私も彼も大きなため息をついた。
……まあ、意味は全然逆だけど。
「……じゃあ。彼女とお倖せに」
「違う!待ってくれ!誤解だ!話を……」
男を無視して足早にその場を去る。
会場にいた人間のほとんどは
騒ぎに呆れて立ち去っており、
残っているのはおもしろがってる野次馬のみだ。
明日には会社中にこの話が知れ渡り、男はきっと……。
その後。
私は男と同じ会社にいたくない、
そう理由をつけてすぐに会社を辞めた。
男の方は当然会社に居づらい、
どころか上司からもまわりの人間からも
信用をなくしてしまい、
結局女共々間もなく辞めたようだ。
そして私はいま、彼の会社にいる。
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