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「最悪だ……この世の終わりだ……」
私の夫となるべくはずだった男はそう云うと、
あたまを抱えて座り込んだ。
……確かにそうだろう。
自分の結婚式に、
凄い剣幕で浮気相手が乗り込んできたのだから。
「私というものがありながら、
なに別の女と結婚しようとしてるのよ!」
「おまえとは別になにも……」
「なに云ってんの!?
私のおなかにはあなたの子供がいるのに!」
女はそう云うと泣き崩れた。
騒然となる式場。
当事者である私といえば、
妙に冴えた頭で冷静にそこに立っていた。
「……浮気してたんだ」
「……飲み会で酔っ払って、
目が覚めたら裸で
あいつと同じベッドにいたことがあったけど。
断じて俺はやってない。
だってあいつ、だぞ?」
ちらり、男の目が泣き崩れる女の方を見る。
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