終わりの始まり

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最悪だ・・・この世の終わりだ・・・。 先月、会社を辞めたのがきっかけで嫁が子供を連れて出て行き、 今、目の前で家が燃えている。 さらに悪い事に、ろくなものも買えないほどの小銭と携帯しか持って出かけていなかった。 頭の中はまだ払い終えていない莫大なローンのことでいっぱいだった。 俺は、ただただ歩いた。 商店街の人混んだ道を歩いていると、ふと空気が違って見えるティッシュ配りの男が目についた。 俺はティッシュをもらう。 変に気になったので振り返ると、その男はもういなかった。 ティッシュの広告に目を通すが、 《人生を変えます》 その大きな文字と電話番号と麻井事務所という名前しか書いておらず、具体的な内容が何も書かれていない。 こんなもの、冷静に見れば凄くインチキ臭いだろう。 しかし、俺は限界だった。 すがりたい一心でこの電話番号をうった。 『はぁ~い!麻井事務所です。』 すごく気の抜ける声だ。やっぱりインチキなのだろうか? 「も、もしもし、飯田というものなんですが」 『飯田さんですねぇ~。今すぐそちらへ向かいます~。』 えっ、と言う間も無いまま電話を切られ、足音のした方へ振り向くと二十代ぐらいだろうか。少し、痩せ気味の男が立っていた。 「どうも初めまして~。麻井事務所を経営している麻井と申します~。お電話頂きありがとうございます~。」 「は、初めまし「ま、自己紹介はここらで終わりにして、本題入っちゃいましょう。」 あまりの勢いに、言葉を失う。 そして空気が変わり、急に真剣な表情になった。 「飯田さん。あなたは人生を変えたいですか?」 「本当に変え「YESかNOで答えてください。」 「変えたいですけど具体的に「YESですねぇ~分かりました~。」 また元の調子に戻ったと思うと、 「後日、また連絡しますねぇ~。」 そういうと麻井さんはいなくなっていた。
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