1人が本棚に入れています
本棚に追加
懐かしい声が聞こえる。
「・・・きろ・・・起きろ飯田。」
顔を上げるとそこには、中学生の時の担任である石塚先生がいた。
「テスト前なのにずいぶん余裕だな?」
「へ?」
「まだ寝ぼけてるようだな。廊下に立ってろ!」
周りにクスクスと笑われながら、俺は仕方なく廊下に出た。
本当に過去に戻って来たんだ。
ふいにポケットに手を突っ込むと、なにやら紙が入っていた。
『麻井です。
ここでやってもらいたいことは一つだけ。
今日は2016年2月14日、あなたは帰り道に幼馴染からチョコをもらい、告白されますね?
でもあなたは告白されたことに驚き、逃げてしまった。
今回はそれに逃げず、気持ちに応えてもらいます。
では健闘を祈ります。』
そうか、あの日か。
幼馴染、日高 優。
子供の頃からずっと仲良くて、小学校、中学校を一緒に過ごした。
この日まで俺は優とはずっと友達でいると思っていたから、
まさか優が俺のことを好きだとは微塵にも思っていなかった。
だから驚いてどうしたらいいのか分からなかったので、何も言わずに逃げてしまった。
それからだ。優とは全く喋らなくなったのは。
高校も別々になり、疎遠のままだ。
今でもずっと後悔している。
ひとまず会いに行こうか。
最初のコメントを投稿しよう!