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三組の前から三番目、廊下側から二番目の席。見慣れた、懐かしい顔がそこにあった。
「優。」
「どうしたの?優が来るなんて珍しい。」
「そうか?」
「もしかして私に会いたくなった~?」
「えっ。」
不意をつかれたせいで、声が上ずってしまった
「何驚いてんのよ~!ふふ。」
「お、驚いてなんかねぇ。」
もうこの時には告白するのは決めていたんだろうか。
そう考えながら喋っていると何気ない会話がぎこちなくなる。
昼休みが終わる予鈴がなった。
教室に戻ったとき、当時親友だった若林 仁が話しかけてきた。
当時、というのも仁とは同じ会社で働いていて、俺らがまだ平社員だった頃に仁は自殺してしまった。
実は社内の誰かから嫌がらせを受けていたらしく、犯人を会社は探してくれなかったし、その件はいつの間にか揉み消されていて、それがきっかけで会社を辞めてしまった。
「なんかソワソワしてない?」
「そ、そうか?」
「分かってないフリだな。」
ぎくっとした素振りをしてしまい、やっぱりな。と自慢気である。
昔から仁には鋭い勘でよく驚かされた。
「まぁなんか悩みでもあんだろ。辛い時は相談しろよ。」
「・・・ありがとな。」
『相談しろよ。』なんて、こっちのセリフだ。どうして親友なのに言ってくれなかったんだ。
いや、でも今は優のことだ。こっちを頑張らねば。
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