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「はーち、くー、じゅーっ!」
腹筋運動を終えた理穂(りほ)が、ばたんとあおむけに倒れこむ。
足を押さえていた私は、そこから降りると、理穂の背中の下に足をもぞもぞとねじこんで、腹筋運動を始めた。
「余裕だね、結子」
「まだ5ラウンドだよ?
理穂が体力なさすぎ」
「文化部に体力はいらないってー」
と言いながらも、理穂は起き上がって、私の足を押さえてくれる。
腹筋は、歌うのに必要だ。
発声をしていると、息を出すのにお腹が動いているのがよくわかる。
ブレスまでが長くて高音になると、本当に腹筋がふるえる。
「今年のソプラノは、いいなあ。
パートリーダーが優しいし。
結子もいるし。
アルトは、役者不足の優しさ不足だよー」
私はソプラノパート。
理穂はアルトパート。
うちは混声合唱なので、あとは男声のテノールとベースがあり、それぞれにパートリーダーと呼ばれる長がいる。
※注:テノールはテナー、ベースはバスとも呼ばれます。バリトンは、テノールとベースの間で、曲によって2声、3声、4声にわかれます。
女声は、ソプラノとアルトの間にメゾソプラノがあり、分かれ方は男性と同じです。
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