天体観測Ⅰ

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練習の時は、この準備室に荷物を置いておく。 休憩の時に、そろそろ定期の期限が切れるかも、と思って、確認のために出して、そのままにしてしまったんだ。 準備室の鍵を借りて、定期入れを撤収する。 最上階である3階から、階段を降りながら、お気に入りの歌を口ずさんだ。 階段は声がよく響くので、気持ちよく歌える。 普段はしないけれど、春休みの今は、校内に人はほとんどいない。 2階から1階に差し掛かった時、ふと踊り場の窓から裏庭を見下ろした。 ぱち、と窓越しに目が合った。 背の高い、男子だ。 思いもしなかった場所に、人がいた事で、私はプチパニック状態。 げ。 まさか、聞かれてた? よく理穂にも注意されるんだけど、私は歌っているうちに調子に乗って、無意識に声を大きく出してしまうことがあるんだ。 やばいやばい。 知らないふり、した方がいいよね? 私は焦って、階段を駆け下りて、階段を降りたところにある昇降口に走りこんだ。
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