天体観測Ⅰ

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思わず、ペコッと頭を下げ返すと、彼は微笑んで席に戻っていった。 「ね、知り合い?」 「え、ううん。 目が合ったから」 何となく、理穂にローファー事件の事を言えなくて、適当にごまかす。 彼が座った席は、私の席から二つほど斜め後ろだった。 始業式の後、担任のありがたくも長い話が終わり、それぞれの自己紹介の時間になった。 「どうせ、名前とよろしくしか言わんだろうからな。 こっちから項目を指定するぞ」 先生は、黒板にカッカッと勢いよく、書いていく。 ①ニックネーム(あれば) ②趣味 ③好きなもの(食べ物可) なんじゃこりゃ、というため息が、教室中に漏れた。 まあ、無難といえば無難だけど。 最初は出席番号順に座っているので、私の前には数人いる。
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