天体観測Ⅰ

13/23
前へ
/642ページ
次へ
「城田亮です。 ニックネームは特にないので、好きに呼んでください。 趣味は建物を見ること。 好きなものは、設計図です」 私は思わず、後ろを振り返った。 ぱち、と目が合う。 彼、城田君は飄々とした顔で座った。 「相変わらずだなー」 と、私の隣の男子が苦笑いしている。 「城田君って、ずっとあんなこと言ってるの?」 私がこっそりと彼に聞いてみると、うなずかれた。 「去年も同じクラスだったんだけど、あいつ、ぶれないんだよな。 ちょっと変わってるけど、面白い奴だよ」 へえ。 確かに変わっている。 好きなものが設計図だなんて、初めて聞いたよ。 でも、人前で堂々と言いきれるなんて、うらやましい。 きっと、自分の好きなものに、自信があるんだろうな。
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加