第1章

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をようやく全て完了させ、日本の海軍の軍艦建造の技術力と知識力との総力を結集して造られた、「鳳翔」が日本海軍の航空母艦第一号艦として遂に完成したのである。このことは、日本海軍より一年あまり先行して建造に取り掛っていた英国海軍が着艦装置の開発やその装置の設置などに手間取っている間に、その英国海軍より九か月早く世界初の航空母艦の誕生を成し遂げたという快挙であり、偉業でもあったのだ。  空母の開発に関しては、先行していた英国の技術を参考にしたにしても、海軍軍令部から早急に造るべしとの強い要請を受けてから、海軍省の艦政本部がそれを早急(さっきゅう)に具体化させ、尚かつのちに実戦配備までをも実現させてみせたというのは驚くべきことであったと言うべきだろう。つまり、それは本件の発案から、具体的な構想として練り上げたものを形にして、更にそれを実用可能なものまでにするのに、これを通算五年余りで達成させたという、異例の早さであったわけである。  改めて、当時の海軍工廠の開発能力の高さばかりでなく、作業能率の良さやこれらを推進させた海軍省艦政本部のマネージメント能力の高さに舌を巻く他はないのであるが、その、「鳳翔」の要目は次の通りであった。    常備排水量  九,四九四トン  飛行甲板全長 一六八,一メートル  飛行甲板全幅 二十二,七メートル  軸馬力    三〇,〇〇〇馬力  速力     二十五ノット  兵装     一四センチ砲四門 八センチ高角砲二門         (後に、二十五ミリ機銃数門、十三ミリ機銃六挺に換装)  搭載航空機  常用(常備用)十五機 (艦上戦闘機六機 艦上爆撃機九機)          補用(予備用)六機  乗員     八八七名  
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