透明ゆえに、誰も気づかず。

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 けれど、パーソナルスペースを保つことができ、通勤電車ですらも、座れはしないが、それなりにゆったりと乗車出来るようになり、平凡で何の変哲もない日々を送っていると、つい、刺激が欲しくなるのが人の性。  透明になった彼らがどんな世界を見て、どんな生活を送っているのかが気になりだす。  別に、この世の中に不満がある訳じゃぁない。  人との距離間がバランスよく取れている今、何も不自由さも感じていない。  ただ、俺は。  俺の目には見えないけれど。  何も感じることすらないけれど。  この世に存在している多くの透明人間達が、どのような生活をしているのかが気になっただけ。  それだけの理由で薬を購入した。
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