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私のアイコンタクトを見ると、九凸がひどい顔をしていた。
露骨に嫌そうな顔で訴えるな。
「いやー恥ずかしい。こんなでっかく文字で書いてたら誰でもわかるわな」
大柄の男はがっはっはと下品に笑い、指先が赤い手でダンボールをぶらぶらさせる。
「そうっすね。紹介しなくてもわかります」
私の気迫に負けたらしく、ついに九凸が二人組みに話をあわす。
「いやー。新入生なのに女の子と一緒とはうらやましいなー」
「まあ、昔からの付き合いなんで」
「へーそーなのかー」
大柄の人は九凸に揺れながらも大声で話をする。
周りの視線が集まるんじゃ、なんて入学1週間のときは思ったがどのサークルもお昼時を狙って新入生に声をかけてるのでむしろ気にする必要なんて無いのだ。
「っっ!・・・」
すると、小柄の人が頭を抑えていた。
「大丈夫ですか?」
「ん。大丈夫だよ」
珍しく九凸が心配したが、大丈夫らしい。まさかあの九凸が心配するなんてと私がにやにや見てるが、九凸は二人組みと話を続ける。
「うちではさ、いうなればこんな衣装作ってるんだよね」
そういってこれ見よがしに自作のパンフレットを広げる。
九凸は大柄の男が置いたパンフを手にとって一言。
「へーすごいっすね」
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