Curriculum1 「おしゃべりなマネキン」

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「ほら早くしなよ」 「うーい」 私が急かすと九凸もしぶしぶ大学の準備をする。 ん、準備?。 この男、平然と服を脱ぎ始めたのだ。 「あーもう!」 私はびっくりして背中を向ける。 「あ、ごめん、ごめん」 九凸も気づいたらしく、ぜんぜん申し訳なさそうに謝る。 もう、こっちも一応乙女なんですよ。 そう思いつつふと綺麗にされてるキッチンが目に入る。 「そういえば、この寮ってずいぶん綺麗なんだね」 背中を向けたまま九凸に話す。 「そうだねえ。どうやら去年リフォームしたばっからしいからねえ」 「へえー」 さすが学生寮。私が住んでるアパートよりお金があることで。 「よし、じゃあいこうか」 準備がどうやら整ったらしい。 「うん」 と、振り向くと赤と黒のチェック柄のロングコートにスウェットの九凸がそこにいた。 「下もちゃんと着替えなさい」 「えー」 いいじゃんべつに、と九凸はぶつくさ文句をいってる。 「いいから!」 そういうとしぶしぶ着替え始めた。 ん?着替え始めた? またもこの男何も言わず目の前で脱ぎ始めたのだ。 「あーもう!」 急いで私も背を向ける。 「あ、ごめんごめん」 どこまでもめんどくさがるこの男は本当にもう! とかいいつつ、この時間を楽しんでる私がいた。
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