Curriculum1 「おしゃべりなマネキン」

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昼休みに入ると大学というのは騒がしい。 そろそろ私達が入学して一ヶ月経つというのに、サークルの勧誘や部活の勧誘で大騒ぎ。新入生歓迎とでかでかと書かれたビラが飛び交う。 私達はお昼にしたいというのに食堂に着くまでに何枚も貰ったのだ。 私は焼き魚定食、九凸は素うどんを机に置いて食べ始める。 ずーずーすすってる九凸がふと箸をとめた。 「ねえ」 ん、と私も箸をとめる。 「秋ちゃんってサークルはいるの」 私がちょこちょこビラをいじってたから、九凸は気になっていたようだ。 「まあね。考えてはいるよ」 そういって私は何枚かビラをめくる。 「九凸は?」 「え?僕?」 「当たり前じゃない。人に聞いたんだから、言わなくちゃ」 九凸はうーんと悩みながら、箸でうどんをくるくる回す。 「別にいいかな」 さすが九凸だ。めんどくさがり屋の予想通りの答えをありがとうございます。 「ほんとにあんたってば…」 「ははっ」 あきれてる私を見て楽しんでいる。まったく何が楽しいんだ!
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