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『死神(ソード)』から伝わる確かな手応えと共に、体躯から離れた生首が一つ。
赤い雨を降らせながら白雲の中を泳ぐようにゆっくりと浮遊する。
名刀のみが奏でることを許される空気を揺るがす静かな刀響。
宙を舞う、首……
陰湿女の瞳と俺の瞳が交差する。
ああ、相変わらず剣呑とした『ジト目』……
これは頗る気分が悪い。
陰湿ジト目女は寸前で俺の殺意を捉えたのだろう。
当然だ。
敢えて捉えられるようにと。
俺は十全な殺意を込めて処刑を執行したのだから。
陰湿ジト目女の口元が三日月状に歪み。
俺に向かって伸う伸うと呪詛を謳うように吐きつける。
――――――『殺意屈折(ミスリード)』。
―― 斬首/了 ――
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