1人が本棚に入れています
本棚に追加
「トブ……何を言って……?!」
「諦めるような話じゃない。全部の女神を説得して、」
「一番上の女神は、どの女神も殺すことができるのだ」
「……そうか」
本当にそうなのか?
何だ、この違和感。どこかが噛み合っていないような歯車みたいな、不思議な感覚。
今の話だと、一番上の女神は女神全員を殺すことが出来るらしい。
現に女神は今も増える代わりに『減っている』動きがある。
きっとそれは本当だ。女神は女神を殺す。
だとしたら、なんで……。
「なんで、ウェザブーチェンを作ったんだ……?」
「……え?」
リリーと目が合った。
それで恥ずかしいとも今は思わなかった。
そうだ、おかしい。どうしてウェザブーチェンなんてあるんだ。
それが、一番おかしい……。
「どうしたのだ……なんでウェザブーチェンをって……何を今更」
「知ってる、ツツバヤを捕獲するためだ。」
「それ以外に目的は無いはずなのだ」
「そうじゃなくて。女神は、どの女神でも殺せるんだろ?なら、どうしてツツバヤは殺さなかったんだ?」
「……!」
「わざわざウェザブーチェンなんて呪いを作って、ツツバヤを止めた。なんでそんなことする必要があったんだ。気に入らなければ殺せばよかったものを」
「それは……突然ツツバヤが町で死んでしまっては、不自然に見えるから……?」
「ウェザブーチェンの方がもっと不自然だ。人が化け物になるんだから」
不自然かどうかなんて関係ないだろう。女神がツツバヤを殺さずに、ひとりの為にわざわざ複雑な呪いまで作った理由。考えられるのは、たったひとつ。
「つまり……一番上の女神はツツバヤを殺せない……といいたいのか?」
そう。女神はツツバヤを捕らえるために呪いを作ったんじゃなくて、ツツバヤを殺せなかったから呪いを作った。
最初のコメントを投稿しよう!