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「……どうしたんだ?」
言ってから、ボボは後悔した。
ここだ、察しろ。と言われて殴られるかもしれない。とうとう怒りが爆発するか? 余計なことを訊きすぎただろうか。
身構えたが、拳は飛んでこない。ギリギリ大丈夫だったようだ。
ツノは固まっている。
「……本当に、どうしたんだ?」
「ボボ。お前、荷物を取りに来たんだな。」
ツノは冷静な口調で尋ねる。
「え、あ、ああそうだが」
予想とは180度違う鬼警備員の言葉に、ボボは呆気にとられた。
殴られなくてよかった。怒られなくてよかった。
安心したのもつかの間。
「荷物が、何者かに盗まれた。」
ツノの掠れた声が、倉庫の寒さを際立たせた。
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