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遠くにあるタワーを見つめているようだった。
「行きたい?」
ビクッとエマの肩が跳ねた。
「これから、二人で」
すると、こっちに顔だけ向けてくれた。寒さから鼻まで赤い。
「怒って、ないの?」
「ん?怒ってるよ」
隣に腰を降ろす。
「こんな夜に寒い中女の子が一人でいることに」
「大人、だね」
「だから君の気持ちは嬉しいけど、オレ捕まっちゃう」
「でもこれは受け取って欲しかった」
そう言って涙の溜まった目を反らされる。
「あー、オレ朝から何も食べてないんだった。」
「あっそ」
会話は続けてくれるようだ。
「君は空腹で死にそうな人間見殺しにする?」
「世界中の餓死していく人間を無視して生きている私は、その中の一人でしかないと思う」
規模がでかい。
「救いたい気持ちは?」
「ないね、生まれた場所とか選べないのはみんな一緒だし」
冬の冷たい風が吹く。
「車出すから下で待ってて」
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