第1章

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遠くにあるタワーを見つめているようだった。 「行きたい?」 ビクッとエマの肩が跳ねた。 「これから、二人で」 すると、こっちに顔だけ向けてくれた。寒さから鼻まで赤い。 「怒って、ないの?」 「ん?怒ってるよ」 隣に腰を降ろす。 「こんな夜に寒い中女の子が一人でいることに」 「大人、だね」 「だから君の気持ちは嬉しいけど、オレ捕まっちゃう」 「でもこれは受け取って欲しかった」 そう言って涙の溜まった目を反らされる。 「あー、オレ朝から何も食べてないんだった。」 「あっそ」 会話は続けてくれるようだ。 「君は空腹で死にそうな人間見殺しにする?」 「世界中の餓死していく人間を無視して生きている私は、その中の一人でしかないと思う」 規模がでかい。 「救いたい気持ちは?」 「ないね、生まれた場所とか選べないのはみんな一緒だし」 冬の冷たい風が吹く。 「車出すから下で待ってて」
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