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「きゃははは!」
甲高い声が、狭い空間の中でよく響く。
「ほらほら、早くやっちゃいなよ~」
「わかってるって~!じゃあ、いくよ!」
次の瞬間。
バシャッ…
「うわ、やっばー!」
「あれじゃん!井戸から出てくるやつ!」
ポタッポタッと、一定の間隔で落ちていく水滴の音だけが耳に残る。
目に入ったのは、床に転がっている青いバケツ。
と、その時。
耳触りな笑い声をかき消すかのように、終業時間を知らせるベルが学校中に鳴り響いた。
「あーあ、やっと終わった~」
「また明日ね、さくらちゃん」
「バイバーイ」
律儀に手を振って行く3人組は、今日もパンツが見えそうなほどにスカート短くまくりあげている。
「おしりから風邪ひきそう」
髪から水を滴らせながら、言葉が口をついて出る。
そんなことより、自分の心配をしたらどうなのだろうか。
「…今日体育あってよかった」
ポタポタと水滴を垂らしながら、私は体操着の置いてある教室へと戻るのだった。
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