3人が本棚に入れています
本棚に追加
いいや、そのままにしとこう。
あんまり静かなのも嫌だし。
喉が渇いてキッチンに入り、コップに入れた水を飲み干す。ふと冷蔵庫の扉を見て、中に入っているものを思い出してみた。
彼が好きなビール。私は飲まないけど、こうして買っておけばいつでも彼が飲めるかなって。
少し悲しくなって、気分転換にシャワーを浴びようと支度をする。まだテレビでは映画情報が続いている事に気付いた。
二人で並んで座っていたソファーが、今は無人でテレビの光を写している。淋しさばかりが増えてくみたい。そのせいで、ソファーは滲んで見えた。
早足でバスルームに入り、急いで服を脱いで熱いお湯を浴びた。
涙の方が熱かった。
毎日ひとりでいると、たまに家の中で物音がするような気がする。気のせいなんだろうけど、確かめるのも恐い。
彼が帰ってきたならいい。
玄関の鍵、閉めたっけ?
ひとりでいると無用心になる。
シャワーの音を聞きながら、聞き耳を立てている私。熱いお湯を浴びてるはずなのに、背筋が、指先が……寒い。
彼が帰ってきたなら、いい。
そうじゃなかったら?
……キッチンで音がしたように感じた。
最初のコメントを投稿しよう!